カナダのバンクーバーに滞在していた時、一時日本からの送金が間に合わなくて
手持ちのお金が1,000円を切ったことがある。
私は結構、お金に対して楽観的で少々のことでは動揺しないが
その時は、外国にいるということもあって
お金がなくなる恐怖でいっぱいになった。
すれ違ったカナダ人に「Smile~!」と言われてしまった(^_^;)
おそらく眉間にしわをよせて相当悲惨な顔つきで歩いてたんだと思う。
私の人生でお金に対して初めて最大の恐怖が出てきたときだった。
その時思った。人間ってお金のことでこんなに感情が揺り動くんだと。
そして数日後、無事に送金があり、ホッとしたのである。
それ以降はそれほどのお金に対する恐怖を感じたことはないのだが
ふと、手元のお金が少なくなった時に試してみたことがある。
それはホームレスの人にお金をあげること。
カナダには場所によって、駅の周辺にホームレスがいて道に座っていることがある。
自分の手持ちのお金が少ない時に限って、ホームレスの人にお金をあげるのである。
ある時、帽子にお金を入れてあげると、その男性はものすごく綺麗な目で
無言で私のことを見つめた。身なりは本当に汚くて、
何日もお風呂にも入ってないんだろうというような感じだったが、
彼の目はすごく澄んでいて、ピュアで何の雲りもない神様のような目で、
吸いこまれそうになった。
そしてとても幸せな気分になった。
その時思った。「この人は明日自分がどうなるかなんて考えてないんだ。
今この瞬間、生きれたらいい」と。
そして涙が出てきた。
それはその人のことを可愛そうだとか考えてではなく、
自分の中から自然に出てくる何かの感情だったんだろう。
そしてそのホームレスから教えてもらった気がした。
「今、この瞬間を大切に生きなさい」と。