いざっ 憧れのレイクルイーズへ~その8~

いよいよレイクルイーズの勤務先に出発となった。

 

勤務先はレイクルイーズ湖近くのホテルにある宝石店。

これから研修が始まる~緊張と楽しみと不安がいりまざった感覚だった。

スタッフが寮まで連れていってくれ、すでに日本からワーキングホリデービザで

来て、研修を開始している人たちと会った。

 

その寮にはすでに4~5人が住んでおり、一人は私と同じくワークビザをとってきた人、一

人はすでに1カ月以上働いてかなり仕事に慣れた人、他の3人はワーホリでの勤務だった。

皆、新しく来た私を出迎えてくれたんだけど、

なんだかその表情が微妙に何かいいたそうな感じだった。

あとになってその表情の意味がわかったんだけど(*_*;

 

それからの2週間にはいろいろなことがあった。

私はこの素晴らしいレイクルイーズの風景の中で繰り広げられていることが

信じられなく、その環境とのギャップに本当に別の世界を生きている感覚になったほどだ。

 

研修では、まず20種類以上はあった宝石の名前を覚え、

それぞれの石の特徴、価格、を覚えていく。

もちろんすべて英語で、観光客やホテル滞在の人に勧めるため、

言葉づかいも注意しないといけない。

他の宝石との違いも見た目でわかるようにしておく。

毎日、そのホテルの中にあるお店の片隅で教えてもらった。

 

すでに研修に入っている人たちのノートはすごい厚さで、

文字がぎっしりと書き込まれていた。

私より先に1週間入った人がどれだけ大変かがわかった。

 

社長じきじきに毎日教えてくれるのだが、

次の日、前日に教えたことが答えられないと

思いっきりしかられる。

そして社長の言うことにはどんなことでも“Yes”と言わなければ不機嫌になる。

この研修の状況がなんだか変だと気づくのに3日はかからなかった。

 

そして1週間研修をすでに終えた二人が辞めると言い出した。
一人は高校を卒業したばかりでワーホリを楽しみにしてきたが、
あまりにも研修の厳しさと、こちらでの生活が思い描いていたものと違ったと
いうので日本へ帰ることを決め、もう一人はワーホリで来ていたが、
辞めることはできず、他の支店で働くことになった。

そして数日のあいだにどんどん人が減っていった。

 

まわりがどんな状況であれ、
私は自分自身が感じたとおりにやっていこうという思いがあったので、
とにかく2週間は様子を見て、がんばってみようと思った。

 

そして、その研修やいろいろありえない職場状況のことよりも、
こんなに素晴らしい環境の中で仕事ができること、
お昼には5つ星ホテルの美味しい料理が食べられること‥などなど
楽しいことを考えるようにしていた。

 

しかし‥‥体は正直なもので、
私はこれまでの人生で胃が痛いと感じたことなどなかったが、
食欲もなくなり、薬を飲まざるをえない状態になった。

 

「ここにいたら、精神的にも肉体的にもよくない」と思い、
辞めたいと上司に申し出た。するとマネージャーは、
ワークビザを取ることがどれだけ大変だったか、
ということを理由に受け入れてくれなかった。

そして何もかもが不便で、環境になれてないからというだけよ、
カルガリーのダウンタウンへ行って気分転換でもすれば気が変わるわよ~
と言われたが‥そんなことで私の気持が変わるような軽いものではなかった。

 

辞めたいと思った理由は、ただ単に研修が厳しかったということではない。

研修はむしろ、英語の勉強、応対の勉強になり、ためになった。

それ以外の理由がありすぎた‥‥けれどここでは割愛する。

 

私も今や、その会社を責める気はなく、逆になんだかそういえば

サスペンス劇場に私が入り込んでいたことがあったなーぐらいの感覚だからだ(笑)

 

そんな状況の中、やっとインターネットが使える状況になったので、

これまでの状況をクマさんに報告したところ‥

私「‥‥で、上司に辞めたいって言ったんだけど、辞められないんですよー」

 

クマさん「やめられない、とまらない、かっぱえびせんやなー!」

 

私「‥‥‥‥(笑)」

 

冗談ちゃうねん!って二人で大笑い(^^♪

でもこのクマさんの明るさぶりに

本当に助けられた。

 

‥‥‥ということで、その後、私が「脱走計画」と命名した計画を実行するのである(^.^)

 

                                        ~つづく~